1991年、日本から輸出される原発に揺れる台湾の貢寮で、原発に反対する青年が無実の罪で投獄された。それから7年。獄中に向けて一人の女子学生が手紙を書き始めた。進んでいく工事のこと、それでも反核を貫く人びとのこと、そして志半ばに亡くなっていく老人たちのこと。原発をめぐる歴史の中で、政治でもなく、経済でもなく、科学でもない、本当に信じるべきものがきらめき始める。
監督:チェ・スーシン
2004年/カラー/89分/台湾語・北京語/日本、北京語、英語字幕/特製三つ折りジャケット、ブックレット(36ページ、オールカラー)/2004年宜蘭国際緑色映画祭観客選考最優秀賞、2004年南方映画祭選出、第27回金穂賞最優秀ドキュメンタリー、2005年韓国ソウル緑色映画祭出品、2005年台湾地方誌映画祭入選、第三回香港社会運動映画祭出品、第14回 EARTH VISION 地球環境映像祭出品
DVDの内容紹介
●台北県貢寮郷は台湾の東北部にあり、面積は9997ヘクタール、人口14000余人。 主な産業は漁業と養殖業。 海岸線の長さは約30キロ、風光明媚で『東北部風景特定区』(日本の国立公園に相当)に指定されている。 1980年第四原発の建設予定地として貢寮が選ばれた。 当時は独裁政治の戒厳令下のため抵抗することはできず、1982年には土地の強制収用により230世帯が強制転居させられた 1987年になってようやく学者の張國龍らが貢寮を訪れ、地元住民に放射能の危険性を伝え反対運動が始まった。 住民にいっさい説明なく決められた原発に、住民は反対を続けた。 1991年10月3日。警察は住民との約束を破って、突如テントを破壊。警察と住民の衝突で1名の警官が死亡した。たまたま車のっていた青年が殺人罪で逮捕され、いまなお獄中にいる。 1998年、一人の女子学生がカメラを持って記録を始める。 「お年寄りから原発に関する話を聞いてだんだん分かってきました。貢寮の住民は第四原発の建設が決まった日から長く辛い道を歩み始めていたことを。 私はカメラを持って私が立ち会えなかった歴史を記録しようと決めました。 長年の努力と抗争の中の人々の人生と心情を記録したいのです。」 それからの貢寮の人々を通じて、台湾の政権交代や、いったんは決まった原発建設中止、激動の歴史をこの映画は綴っていく。