時間が溜まっている
この三部作を撮り終えたら自分の内部に溜まっていたものが全部出ていっちゃった。もう写真は撮らなくていいと。こだわりがなくなったら表現する基がないのと同じですよね。習っていないから撮影技術はさほどないし、私が撮らなくてもいい写真はいっぱいあるわけですよ。でもダラダラとは撮っていて、はっと気がついたらもう40(歳)じゃない。ああ40年も経っちゃったかと言って、じっと手を見るじゃないですか。
私が40年過ごしてきた時間というのは、どこかに絶対あるわけですよ。それは手と足じゃないかと。身体の末端はいちばん時間が溜まっているような気がしたんです。手は、外に向かってものを作ったりする。外との接点がいちばん多い。足は、いちばん地球のマグマに近い。全人生をこんなちっちゃなもので歩いたり、支えたりしてきているわけです。40年間を見たいという欲望の結果として、1947年に生まれた同じ歳の女性の手と足を撮っていこうと考えたのです。三部作以降9年ぶりの写真集『1・9・4・7』(1990)に収められた写真ですね。
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