パブリックとプライベートが共存する空間
私は男子便所の方は良く知らないですけど(笑)。
公衆便所の中でのちょっとしたことが、すごく深かったり濃かったりします。そういったことが日本全国あちこちで起こっていて、その日常的で典型的な空間の中に、少しずつずれていくものを入れていく。そのずれていくものが、他が典型的なだけに浮き立ってくる。それが演出としておもしろいんです。
この作品はアニメーションで見せているので、さまざまな動きの展開があります。しかも公衆便所という場所での人の動きは、通常はこういう動きをするだろう、ということは想像できます。
でも、私はみんなが持っている典型的な動きの上に、私の感じる新たな動きを付加することで、さらに新しい展開を作っています。
公衆便所というのは、パブリックな場所にありながら、ベニヤ板一枚で隔てられて、いきなりプライベートな空間になる。その中で起こることは、本人しか知りえない。そこで何が起こっていたとしても、外の人にはわからない。実際、事件が起こることもあります。
その空間構造の面白さというのが、作品を作る上で大きなきっかけでした。 |