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INTERVIEW
インタビュー:坂口恭平 Part 1
2010.7.30 UP
都市に住まう一つの方法としての「路上生活」。その空間である家を「0円ハウス」と呼び、彼らの多彩な“家”と暮らしぶりを密着取材、「これこそ理想の生活ではないか?」という逆説的な問いかけを提示した坂口恭平さん。さらには、「人が生きるために必要なものはすでに都市の中にある」という発想に立ち、そうした「都市の幸」を採集しながら、都市を創造的に生きる方法論を模索。スクラップ・アンド・ビルドを繰り返す都市建築に疑問を投げかける坂口さんにとって、建築とは何か。都市のゴミを拾い集めて自力で生活空間を作り出し、日々発明を繰り返しながら暮らしている「0円生活」から見えてくるものとは? (聞き手:山田真由美)

「建てない」建築家

今の建築家がつくる建築は、僕にとっては建築ではありません。当たり前の話ですが、建築にかかわるすべての人たちは、「建てなければ」お金にならないし、儲けるためには規模が大きければ大きいほどいい。基本的にそういう発想でしか建築を見ることができないから、「建てない」などという選択は永遠にできない。
でも、この日本を見渡してみると、すでに十分すぎるほどの建築物があって、余っているぐらい。そうした状況で、都市をどう見ていくか哲学として考えるのが本来の建築ではないか。僕は設計図を引いて、建物を建てることはしていないけれど、「都市を思考する」という点からすれば、むしろ自分のほうが建築家だ、という自覚が強い。建築家というのは、人間と、人間が住まう空間の関係性をきちんと構造化できる人だと思うんです。

解像度を上げて都市を見る

坂口恭平別に新しいことを発明する必要はないんですよ。僕らはすでに「都市」という大きな屋根の下で生きている。都市にはトイレもあれば、銭湯もあるし、気持ちのいい空間として公園やカフェやレストランもあって、自分たちは無意識であっても、そうした都市空間をうまく利用している。僕はそれをもっと意識的になって、都市に対する解像度を上げていこうと言っているんです。
都市というものをもっともっと細かくみていくと、何が見えるか。たとえば、僕はゴミのことを「都市の幸」と置き換えたんですが、今までゴミとしか認識していなかったものでも解像度を上げてみると、お金に換金できるものだったり、リサイクルできるものだったりするものがたくさん含まれている。
そんなふうに、都市の状況を見極めていくと、もう新たに何かを建てるという発想にはならない。建てることよりも、すでにあるものをどう活用するかを考えるべきで、そのほうが僕にとっては空間をつくっている、という感覚なんです。
今の建築は、空間を区切って建物をつくっているだけ。私の領域はこれだけで、あなたの領域はこれだけでというように。その結果、僕らの生活はどんどん追い込まれて息苦しくなってしまった。でも発想を変えて、壁のない都市空間すべてが自分の使えるものだと思えば、空間がどんどん増えていくじゃないですか。

「壁がないから全部の空間を持っている」

東京にはすでに、そういう視点で自分の空間を作り出している人たちがいる。『TOKYO一坪遺産』の中で紹介した、靴磨き職人のおじさんなんて超達人です。パラソルの下で、実際にはすっごく狭い空間でしか靴磨きをしていないんだけど、彼は「壁がないから全部の空間を持っている」って僕に言ったんです。東京駅周辺は自分の空間である、と。彼らは空間をつくっているんですね。そこが僕がいまいちばん面白いと思っているところで、人間って実は何も建てずに土地を私有化しないままでも、自分の空間を作り出すことができる。
もはや、土地を区切って所有して、そこに建物を建てるという発想は前時代的。現代の僕らがやるとしたら、靴磨き職人のおじさんのように、視点を変えるだけで自分の空間を獲得できるようなことであり、それは意識していなくても、みんなが普通にしていることなんですよ。

隅田川の鈴木さんは僕にとって「イチロー」

坂口恭平たとえば、『TOKYO 0円ハウス0円生活』の主役である隅田川の鈴木さんの家は3畳もないくらいなのに、入ってみると6畳間よりも広く感じるんです。なぜだろうと考えたときに、僕たちが目で見て知っている空間の大きさとは別に、もう一つ違う次元の空間、レイヤーがあるんじゃないかと思った。
僕は子どもの頃、学習机の下を基地のように改造して、自分の「家」に変えていたんですが、同じように、一つの空間にはいろんなレイヤーがあって、そこをポンと飛ぶと別の空間になる。言葉で説明するのはものすごく難しいのですが、「0円ハウス」に出会って、これはまさに自分が考える建築の概念の体現者だ!と思った。
僕が解像度とか、レイヤーとか言うと観念的なものにしか聞こえないかもしれないんですが、フィールドワークをすることで都市から自分の思考を具現化しているものを採集できる。だから僕はあえてフィールドワークをしている。なかには僕のことを「ホームレス研究家」と言う人もいますが、僕はホームレスと会ったことは一度もない。僕が会っているのは、僕が感じているような空間をわかっている人であって、僕にとっては「イチロー」なんです。彼らは生きること、建てること、住まうことがすべて一体化している。今の僕らに必要なことを、彼らは全部持っている。だから会いに行かないと。そこはすっごく重要なところだから。

鈴木さんからブリコラージュを教わる

僕は鈴木さんのような存在を探していたわけですが、面白いことに鈴木さんも僕を探していたと言うんですね。「オレの面白すぎる人生を誰かに伝えなければいけないと思っていた」と。だから僕と出会って鈴木さんのほうが喜んでくれていて。「名前も出していいし、全部しゃべるからメモってくれ」って。ある意味、僕は伝承されたと思っています。先人が自分の知恵だったり技術だったりを伝える文化がまだ都市に残っていたんですよ。
その当時、僕はレヴィ・ストロース(注・フランスの文化人類学者)の『野生の思考』を読んでいて、完全にこれは「ブリコラージュ」(注・余り物などあり合わせで必要な物をつくること。レヴィ・ストロースの提唱)を教わっているなと思った。彼らはブリコラージュを地でやっていたんです。西洋人たちはそれをブラジルの奥地に行かなければ見つけられなかったわけだけど、僕たちは日本の中から探すことができる。これって日本独特のものだと思う。

何も新しく作らず、システムも変えずに……

同じ空間なのに、いくつものレイヤーがある。目に見える空間は狭くても、レイヤーとして見たら、広大な空間が存在している。僕たちはそのことを知らないで、一つの空間しか見えていなくて、そこだけが自分たちの世界と思い込んでいる。でも、そうじゃないんだよ、と路上生活者の人たちは教えてくれた。それって、異次元の人からぽんぽんと肩をたたかれたような感覚と同じです。僕にとっては180度思考が転換するぐらいの出来事だった。僕がやりたいのはそういうことで、誰かの肩をたたいて、あなたが見ているものと全然違う空間があるんだよ、ということを伝えたい。それができたら、それだけでもう希望じゃないですか。そんなふうに僕は何も新しく作らず、システムも変えずに、人の価値観や創造性を変えることを常に考えているんです。坂口恭平

次号へ続く
(2010年7月 東京・J.S. BURGERS CAFE新宿店にて 
TEXT:山田真由美 PHOTO:室谷亜紀

INTERVIEW:坂口恭平 Part 1 / Part 2

 

Profile:坂口恭平
さかぐちきょうへい 建築家・作家・アーティスト

1978年熊本生まれ。大学進学を前に建築家・石山修武設計の「幻庵」に出会い、建築家を志す。 早稲田大学理工学部建築学科にて石山氏に従事。在学中より、「生きていくための建築」とは程遠い現代建築に疑問を持ち、人が本来生きるための建築とは、生活や環境も含めた空間とは何かを模索するようになる。そのようななか、隅田川でソーラーパネルを使って自家発電している路上生活者の「家」に衝撃を受け、東京の路上生活者が暮らす総工費0円の家の調査を開始。2004年、日本の路上生活者の住居を収めた 写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。 2006年、カナダ、バンクーバー美術館にて初の個展、 2007年にはケニアのナイロビで世界会議フォーラムに参加。 2008年には、隅田川に住む路上生活の達人・鈴木さんの生活を記録した 『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(大和書房)を発表し話題を呼ぶ。翌2009年には自身も実際に多摩川生活を経験。 他の著作に『隅田川のエジソン』(青山出版社)、『TOKYO一坪遺産』(春秋社)など。最新刊『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)が8月4日より発売予定。

坂口恭平オフィシャルサイト
http://www.0yenhouse.com/


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